「代理」は宅建の権利関係の常連なのに、無権代理・表見代理あたりで急に難しく感じる。登場人物が本人・代理人・相手方の3人もいて、そこに「勝手に代理人を名乗った人」まで混ざると、もう誰が誰だか分からなくなる。私も最初、図を書いては消し、書いては消していた。
抜け出せたきっかけは、たった一つ。3人の関係を1枚の図に固定して、「誰が・誰に・何を言えるか」だけを追う。これに尽きる。今日はよくある場面で、その追い方を一緒にやってみる。
まず大原則。効果は本人に“直撃”する
代理は、代理人が本人のために意思表示をして、その効果が直接本人に飛んでいく仕組みだ。Aさん(本人)の代理人Bが、相手方Cと契約を結べば、契約の当事者になるのはAとC。Bは間に立っただけで、契約そのものはAに直撃する。代理人は“伝書バト”みたいなもの、と思っておくと混乱しにくい。
こじれるのは「代理権がないのに代理しちゃった」とき
やっかいなのが、Bに代理権がないのに本人Aの代理人として契約してしまう無権代理だ。このとき契約は、有効でも無効でもない“宙ぶらりん”になる。Aが「よし、認める」と追認すれば有効。認めなければ、Aには効果が来ない。困るのは相手方Cだ。いつまでも宙ぶらりんでは落ち着かないので、Cは「で、追認するの?しないの?」とAに催告できる。期間内に返事がなければ、追認を拒んだものとみなされる。
| 相手方Cができること | 必要な条件 |
|---|---|
| 催告(追認するか確答を求める) | Cが善意でも悪意でもできる |
| 取消し(追認前に契約をやめる) | Cが善意のときだけ(契約時に無権代理と知らなかった) |
| 無権代理人Bへの責任追及(履行か損害賠償) | 原則Cが善意無過失。Bが代理権を証明できず、本人の追認もないとき |
ここ、地味だけど大事。催告は誰でもOK、でも取消しは善意の人だけ。この“非対称”が、そのまま狙われる。
表見代理:見た目が代理人なら、本人も巻き込まれる
無権代理でも、Cから見て「Bはちゃんとした代理人でしょ」と信じても無理はない外観があるときは、本人Aが責任を負わされることがある。これが表見代理。たとえばAが「Bに代理権をあげたよ」とCに伝えていた(実は渡していない)ようなケースだ。Cが善意無過失なら、Aはその行為の責任を引き受ける。「紛らわしい外観を作った本人にも落ち度がある」から、信じたCのほうを守る——そういうバランス感覚だ。
試験では、こう顔を出す
定番は催告と取消しの“善意・悪意”いじり。「悪意の相手方は催告できない」は誤り——催告は善意でも悪意でもできる。逆に「悪意の相手方でも取消しできる」も誤り——取消しは善意のCだけ。ここを入れ替えて揺さぶってくる。
もう一つは無権代理人に責任を問うときのCの状態。Cが無権代理と「知っていた(悪意)」か「不注意で知らなかった」なら、原則Bに責任は問えない。“善意無過失”の4文字が効く場面だ。
3人を固定して、「催告=誰でも/取消し=善意だけ/無権代理人への責任=善意無過失」。この3点を持って権利関係の演習へ。用語は宅建用語集、本番の時間配分は50問・120分の記事で。