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宅地建物取引士

【1問1問】宅建「8種制限」は、なぜ業者が売主のときだけ8つも増えるのか

丸暗記がほどける、たった一本の背骨

宅地建物取引士・初学者向け・約7分・更新 2026-06-13

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宅建業法に「8種制限」という関門がある。自ら売主制限とも呼ばれて、ルールが8つ並ぶ。手付の上限、クーリング・オフ、保全措置……正面から丸暗記しにいくと、数字も名前も混ざって、きれいに崩れる。私も一度、本番の1週間前に見事に崩れて、軽く絶望した。

でも、8つを貫く背骨が1本だけある。それが見えてからは、バラバラの暗記項目が、ひとつの物語に変わった。背骨はこれだ——「プロが素人に売るときだけ、素人を守る」

なぜ、業者が売主のときだけ厳しいのか

不動産の取引は、情報も経験もプロ(宅建業者)が圧倒的に上だ。素人の買主は、気づけば相手のペースで、自分に不利な契約を結ばされやすい。だから宅建業法は、「業者が自ら売主」かつ「買主が素人(業者でない)」のときに限って、買主を守る8つのブレーキを用意した。立場が対等じゃないから、弱いほうに手すりをつける——そういう発想だ。

ということは、逆もまた真。買主も業者(プロ同士)なら、8種制限はまるごと外れる。守るべき素人がいないからだ。さらに、業者が“媒介”(仲介)で関わるだけで自分が売主にならないなら、これも対象外。この「プロ同士なら外れる」「媒介には及ばない」の2つが、ひっかけの鉄板ネタになる。

8つを一覧で

制限何から買主を守るか
クーリング・オフ事務所等以外での勢いの契約。書面で告げられて8日以内なら解除できる
自己の所有に属しない物件の売買制限業者がまだ持っていない物件を売る不安定さ
手付の額の制限過大な手付。代金の10分の2(2割)が上限
手付金等の保全措置完成前などに払ったお金が、業者の倒産で消えること
損害賠償額の予定等の制限解約時の法外な違約金。代金の2割が上限
担保責任(契約不適合)の特約の制限業者に有利すぎる免責特約
割賦販売の契約の解除等の制限1回の支払い遅れでの即解除
所有権留保等の禁止引渡し後も所有権を業者が握り続けること

覚える数字は、思ったより少ない

8つもあると身構えるけれど、数字が前に出るのは主に3つだけだ。手付は代金の2割まで、損害賠償額の予定も2割まで、クーリング・オフは書面で告げられてから8日。受け取った手付は「解約手付」扱い。相手が動き出す(履行に着手する)までなら、買主は手付を放棄して、売主は倍返しして、それぞれ契約をやめられる。要は「お互い、お金で手を引ける」ということだ。「2割・2割・8日」をまず体に入れる。これだけで、ぐっとラクになる。

試験では、こう顔を出す

断トツで多いのが「買主が業者だったら?」のすり替えだ。「宅建業者間の売買でも、手付は代金の2割を超えて受け取れない」——これは誤り。プロ同士なら8種制限は働かないから、2割の縛りもかからない。背骨を握っていれば、ここは一瞬で見抜ける。

もう一つは「自ら売主」かどうか。業者が媒介で間に入っているだけの取引に8種制限は及ばない。あくまで業者が当事者(売主)になるときの話、というのを忘れずに。

「プロが素人に売るときだけ、素人を守る」。この一行を胸に問題演習へ。肢のどこが“プロ同士”や“媒介”に化けているかが見えてくる。分野の優先順位は勉強順の記事、書面まわりは35条・37条の記事で。

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