「税効果会計」。名前からして身構える。繰延税金資産、法人税等調整額……用語が無機質で、私も最初は完全に呪文だと思っていた。テキストを読んでも「で、結局なにがしたいの?」が最後まで出てこない。
でも、やりたいことはひとつだけだった。会計のルールと税金のルールで、「いつ費用にするか」がズレることがある。そのズレで生まれる税金の食い違いをならして、利益と税金をちゃんと対応させる。それが税効果会計だ。中身が分かると、急に無機質さが消える。
ズレの正体:会計は「今」、税務は「まだ」
貸倒引当金で考えてみる。会計では、将来の貸倒れに備えて当期に貸倒引当金繰入(費用)を立てられる。ところが税務は、「実際に貸し倒れるまで損金とは認めないよ」と言うことがある。つまり、同じ年の同じ出来事なのに、会計と税務で“費用にするタイミング”がズレる。
こうなると、その年は会計の利益より、税務の所得(税金の対象)のほうが大きくなって、税金を多めに払う。でもこれ、損をしているわけじゃない。将来、実際に貸し倒れたときに税務でも損金になって、その年は税金が軽くなる。トータルでは帳尻が合う。だから今の多めの税金は、いわば税金の前払いなのだ。
繰延税金資産=「前払いした税金」を置いておく箱
その前払い分を「あとで取り戻せるからね」と資産にして取っておく箱、それが繰延税金資産だ。相手科目には法人税等調整額を使って、払いすぎに見える税金費用を、会計の利益に見合う高さまでならしてやる。
| 一時差異の向き | 生じる勘定 | イメージ |
|---|---|---|
| 将来減算一時差異(今は税金が多め→将来減る) | 繰延税金資産 | 税金の前払い |
| 将来加算一時差異(今は税金が少なめ→将来増える) | 繰延税金負債 | 税金の後払い |
具体例でいうと、貸倒引当金繰入の超過や減価償却の超過は前者(前払い)の代表選手。その他有価証券の評価差益あたりは後者(後払い)の代表選手だ。金額は「一時差異 × 法定実効税率」で出すだけ。意外とあっさりしている。
試験では、こう顔を出す
2級では、貸倒引当金繰入の限度超過額や減価償却費の超過額に税率を掛けて繰延税金資産を立てる問題が定番だ。差異が解消する年には、逆の仕訳で繰延税金資産を取り崩す。「いま税金を多めに払った=将来の前払い=資産」——この向きさえ間違えなければ、あとはほぼ機械作業で片づく。
問題演習で実際に税率を掛けて手を動かそう。用語は簿記2級用語集、攻略順は勉強法ロードマップ、もう一つの難所は連結会計で。