簿記2級の最後にそびえる山が「連結会計」だ。仕訳はやたら出てくるのに、何をしているのかが見えない。私も最初、手順だけを必死に追って、目的がまるで頭に入ってこなかった。「投資と資本の相殺?……だから何を消してるの?」とずっとモヤモヤしていた。
そのモヤが晴れたのは、目的を一言でつかんだときだ。親会社と子会社を「1つの会社」とみなして、決算を作り直す。これさえ握っておくと、ひとつひとつの仕訳が「ああ、だから消すのか」でつながってくる。
そもそも、なんでわざわざまとめるの?
親会社が子会社を支配している(議決権の過半数を持つ、など)とき、法律上は別会社でも、実態はひとつのグループだ。投資家が知りたいのは「親会社1社の数字」より、「グループ全体でいくら持っていて、いくら稼いだか」のほう。だから個別の決算とは別に、グループをまるごと1社とみなした連結財務諸表を作る。家族をひとつの家計簿でまとめて見る、みたいな話だ。
やることの中心は「身内のダブりを消す」
1つの会社とみなすと、親子間のやりとりは「右ポケットから左ポケットへの移動」になる。そのまま外向けの決算に残すと、実態より大きく見えてしまう。だから消す。これが相殺消去だ。連結でやっている仕訳の大半は、突き詰めると「身内の取引を、なかったことにする」作業に集約される。
| 消すもの | なぜ消すか |
|---|---|
| 投資と資本(親の子会社株式 ↔ 子の純資産) | グループ内部の出資なので、外向けには残さない |
| 内部取引(親子間の売上と仕入) | 同じグループ内の売り買いは“身内取引”。売上も売上原価も水増しになる |
| 債権・債務(親子間の売掛金と買掛金など) | 自分への貸し借りなので、グループ全体では存在しない |
| 未実現利益(グループ内で売った在庫にのった利益) | まだ外部に売れていない儲けは、グループ全体では実現していない |
新しく出てくる2人:のれん と 非支配株主持分
のれんは、親会社が子会社株式を、子会社の純資産(持分)より高く買った差額。ブランドや顧客基盤みたいな「数字に出ない価値」に払った上乗せ分、と思えばいい。のれんは資産にのせて、原則20年以内に償却していく。
非支配株主持分は、子会社の純資産のうち親会社以外の株主の取り分だ。親が子会社の80%しか持っていなければ、残りの20%は他人のもの。グループの数字に子会社を100%取り込みつつ、「このうち20%はよそ様の分ですよ」と切り分けておく勘定、と捉えると腑に落ちる。
試験では、こう顔を出す
流れはこうだ。まず支配獲得日に、投資と資本を相殺する(ここでのれんと非支配株主持分が顔を出す)。翌年度からは、のれんを償却し、子会社の儲けを振り分け、身内の取引や貸し借りを消し、在庫にのった未実現利益を消す——これが毎年積み上がっていく。手順は多いけれど、ぜんぶ「グループを1社とみなすと、これは消える/これは切り分ける」という同じ発想から出ている。だから、目的さえ握っていれば、初見の小問でも“次に何を消すか”の見当がつく。
まずは問題演習で1ステップずつ手を動かそう。用語は簿記2級用語集、2級全体の進め方は勉強法ロードマップで。商業簿記のもう一つの難所は税効果会計へ。