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日商簿記3級

日商簿記3級の出る順を実問題1問から読み解く—306問でわかる頻出テーマと学習法

クレジット売掛金の1問を解きながら、出題の重心をつかむ

日商簿記3級・初学者〜標準・約5分

日商簿記3級の記事

「商品180,000円をクレジット払いの条件で販売した。信販会社への手数料は販売代金の3%であり、販売時に計上する。」

当サイトに収録している実際の1問(boki3_v81_j111)を、まず一緒に解いてみましょう。電卓を持っていなくても大丈夫です。順番に追えば、簿記3級が何を問うているのか、その輪郭がはっきり見えてきます。

クレジット売掛金を1問、最後まで解いてみる

つまずきの種は、たいてい「クレジットなのに、なぜ普通の売掛金で処理しないのか」という素朴な疑問です。答えは単純で、信販会社という第三者が間に入るからです。お客さんはカードで支払い、信販会社がお店に代金を立て替え、その立て替えに対する手数料を信販会社が差し引きます。だからお店が受け取る権利は「普通の売掛金」ではなく「クレジット売掛金」という別の勘定科目になります。

では計算です。手数料は販売代金の3%、つまり180,000円×3%=5,400円。これが支払手数料として費用計上されます。お店が信販会社に対して持つ債権は、販売代金からこの手数料を差し引いた金額になるので、180,000円-5,400円=174,600円。これがクレジット売掛金です。

仕訳に直すとこうなります。

借方金額貸方金額
クレジット売掛金174,600円売上180,000円
支払手数料5,400円

検算してみましょう。借方合計は174,600円+5,400円=180,000円。貸方の売上180,000円と一致します。簿記の仕訳は必ず借方と貸方が釣り合うので、この一致を確認できた時点で「たぶん合っている」ではなく「合っている」と言い切れます。迷ったときほど、最後にこの貸借一致を確かめる癖をつけてください。

この1問だけでも、簿記3級という試験の性格がよく表れています。難しい理論を問うわけではなく、取引の中身を正しく読み取り、決められた手順で淡々と仕訳を組み立てられるかどうかを見ているのです。だからこそ、どのテーマがどれくらいの頻度で出るのかを知っておくと、勉強の道筋がぐっと立てやすくなります。

306問を3つの大問に分けてみると

当サイトが収録する日商簿記3級の演習問題は、全部で306問。これを本試験と同じ3つの大問構成で振り分けると、第1問(仕訳)が167問、第2問(帳簿・補助簿)が84問、第3問(決算総合)が55問という内訳になります。本試験の配点でも第1問は45点と最も大きく、出題数の上でも最大勢力です。つまり、勉強の初手は仕訳から、というのは感覚論ではなく、量と配点の両方が裏づけている結論なのです。

第1問・仕訳167問のなかで、何が多いのか

仕訳167問を小分類で見ていくと、件数の多い順にはっきりとした濃淡があります。先ほど解いたクレジット売掛金は11問。商品売買・三分法が14問で最も多く、続いて電子記録債権・債務が8問、手形取引も8問という顔ぶれです。クレジット売掛金・電子記録債権・手形取引はどれも「お金そのものではない、将来の支払い・受け取りの約束」を扱うテーマで、合わせると27問になります。普通の現金や預金の動きと違って、これらは勘定科目の名前と性質を正しく覚えていないと手が止まってしまうので、まとめて押さえておく価値があります。

そのほかでは、小口現金が7問、消費税(税抜方式)が6問、剰余金の配当が5問、減価償却が5問、当座預金・当座借越が4問、現金過不足が4問と続きます。商品売買と債権・債務系のテーマが出題数の上位に固まっていることは間違いなく、まずはこのあたりから手をつけるのが合理的です。

第2問・帳簿と補助簿、84問の中身

第2問は、個別の取引を仕訳する力よりも、その取引が帳簿のどこにどう記録されるかを問うパートです。84問のなかでは、貸倒引当金の勘定記入が8問で最も多く、消費税の勘定記入が7問で続きます。さらに商品有高帳・移動平均法が6問、買掛金元帳などの補助元帳が6問、経過勘定の勘定記入が6問、補助簿選択(取引からどの補助簿が動くかを○印で答える形式)が6問と、6問前後のテーマがいくつも並びます。小口現金出納帳と固定資産台帳がそれぞれ5問、語句選択が5問、商品有高帳・先入先出法が4問という分布です。

第2問の厄介なところは、仕訳ができていても「どの帳簿の、どの欄に書くか」という形式面でつまずきやすい点にあります。商品有高帳の移動平均法と先入先出法は計算方法そのものが違うので、混同すると数字がまるごとずれてしまいます。ここは仕訳の延長線上にある作業だと割り切って、帳簿の様式に慣れる時間を別途とるのが近道です。

第3問・決算総合、55問が要求する総合力

第3問は、1つの取引を仕訳するのではなく、決算整理を積み上げて精算表や財務諸表をまるごと仕上げる総合問題です。55問の内訳を見ると、決算整理後残高試算表を本試験形式で問うものが8問、精算表8欄式が8問とこの2つが最多で並び、財務諸表作成・決算整理が5問、損益計算書の基本構造が3問、貸借対照表の表示が3問と続きます。

第3問は問題数こそ55問と3つの大問のなかで最も少ないものの、求められる作業量は一番大きいといってよいでしょう。売上原価の算定、貸倒引当金の差額補充、減価償却、経過勘定の整理、現金過不足や消費税の整理など、第1問で学んだ仕訳の知識を一つの表のなかに次々と反映していく必要があります。逆にいえば、第1問の仕訳が正確にできていれば、第3問は「同じ仕訳を、決算整理として並べ直しているだけ」だと気づける瞬間が必ず来ます。

どの順番で固めるか

配点と出題数の両方を踏まえると、優先順位は第1問の仕訳、次に第3問の決算整理、最後に第2問の帳簿という順が理にかなっています。仕訳が体に染み込んでいれば、決算整理も帳簿記入も「結局は仕訳に直して考える」だけのことだと実感できるはずです。逆に仕訳があいまいなまま帳簿の様式を覚えようとすると、暗記の量ばかりが増えて、本番でひねった問われ方をされたときに対応できません。

冒頭のクレジット売掛金の問題のように、1問ずつ「なぜその勘定科目を使うのか」「なぜその金額になるのか」を自分の言葉で説明できるところまで仕上げてから、次の問題に進む。地味なようでいて、これが結局いちばんの近道です。当サイトでは306問それぞれに解説をつけているので、間違えた問題は理由を確認しながら、頻出テーマから順に潰していってください。

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