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学習法・勉強のコツ

試験当日、私は会場で財布を忘れたことに気づいて青ざめた

持ち物、会場入り、緊張のほどき方、そして終わった科目を引きずらないための心構え。当日をどう生き延びるかの話。

学習法・全受験者向け・約6分

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勉強の話はさんざんしてきたが、試験当日そのものをどう過ごすか、という話はあまりされない。でも、私に言わせれば、ここが最後の山場だ。何ヶ月も積み上げてきたものを、たった数時間の自分のコンディションで台無しにすることが、本当にある。私はそれを、身をもって知っている。直前期のすごし方は別の記事に書いたので、ここでは当日そのものの所作に絞る。

あれは忘れない。会場の前で財布を忘れたことに気づいた朝

ある資格試験の日、私は会場の最寄り駅に降り立った瞬間、背筋が凍った。財布がない。受験票は鞄に入れていたから受験はできる。でも、お昼を買う金も、何かあったときのタクシー代もない。たかが財布、と思うかもしれない。でも本番直前のあのときの私には、足元がぐらつくほどの衝撃だった。

結局その日は、ポケットにたまたま入っていた小銭でパンを一個買い、それを齧りながら午後の科目に挑んだ。試験そのものより、午前中ずっと「金がない」という焦りに脳のリソースを食われていた。あのとき悟ったのだ。当日のトラブルは、知識の問題ではなく、平常心の問題なのだと。

持ち物は、前夜に「鞄に入れて」初めて持ち物だ

持ち物リストを書くのは、誰でもやる。受験票、筆記用具、時計、本人確認書類。問題は、リストを書いて満足してしまうことだ。私の財布事件も、頭の中のリストには財布があった。ただ、実際に鞄へ入れる作業をしていなかっただけ。

だから私は今、前夜のうちに全部を鞄に放り込み、ファスナーを閉じる。机の上に並べて眺めるのではなく、しまうところまでやる。「明日入れよう」は、たいてい入れ忘れる。腕時計型でない、針か数字だけのシンプルな時計も忘れずに。会場の時計が見やすい位置にあるとは限らないし、私が受けた試験では、スマホは電源を切って鞄にしまうよう言われた。資格によっては電卓が要るものもあるが、使える機種が決まっていることがあるので、自分の受ける試験の要項は事前に必ず確認しておきたい。

会場には、早すぎるくらいで着くのがちょうどいい

ギリギリに着くと、何が起きるか。席を探し、上着を脱ぎ、荷物をしまい、トイレを我慢するか迷っているうちに、開始のアナウンスが流れる。心臓がバクバクしたまま一問目を読むことになる。これが、いちばんもったいない。

私は、開場と同時くらいに着くようにしている。早く着けば、トイレの場所を確認できる。席に座って、机のガタつきや椅子の硬さに体を慣らせる。会場の空気に、自分の体を先に馴染ませておく。初対面の人といきなり本題に入るより、少し世間話をしてからのほうが話しやすいのと同じで、会場とも顔合わせの時間がいる。

白猫

白猫:早めに着いて、机のガタつきや椅子の硬さに体を慣らしておくと、最初の一問に落ち着いて入れるよ。

開始前の数分、私は「あえて何もしない」ことを覚えた

昔の私は、開始直前までテキストをめくっていた。一問でも多く頭に入れたくて。でも、あれは逆効果だったと今は思う。直前に詰め込んだ知識は、たいてい出てこない。むしろ「これも覚えていない、あれも怪しい」と、自分の穴ばかりが目について、不安だけが膨らんでいく。

今は、開始五分前になったらテキストを閉じる。そして、ゆっくり息を吐く。吸うより、吐くほうを長く。私は緊張すると、決まって呼吸が浅くなり、手が冷たくなる。あれは体が身構えているサインのようなもので、悪いことではないらしい。その体に「大丈夫、戦うだけだ」と教えるのが、長く吐く呼吸だ。数を数えながら、吸うより倍くらい長くかけて吐く。それを数回やると、不思議と指先に血が戻ってくる。

終わった科目のことは、もう私の手を離れている

複数科目や午前・午後に分かれる試験で、いちばんやってはいけないのが、これだ。終わった科目を、引きずる。私は一度、午前の手応えが悪くて、午後のあいだ中ずっと「さっきのあの問題、答えはどっちだったんだ」と考えていた。結果、得意なはずの午後でケアレスミスを連発した。終わったものを悔やんで、これからのものを落とす。最悪の取引だ。

試験が終わった瞬間、その答案は私の手を離れて回収される。もう一文字も書き換えられない。過ぎた科目は、雨と同じだ。降ってしまったものを恨んでも、傘もささずに次の科目までずぶ濡れで歩くのは、ただの自滅でしかない。休憩時間に答え合わせをする人がいるが、私はあれだけは絶対にしない。当たっていても気が緩み、外れていれば心が折れる。良いことが一つもない。

お昼は、攻めずに守る。眠気という伏兵がいる

お昼休みのある長い試験で、私が一度やらかしたのが「がっつり食べる」ことだった。緊張で朝が食べられなかった反動で、お昼にしっかり食べたら、午後の最初の三十分、記憶がないくらい眠かった。血糖値がどうこうという話を後で読んだけれど、理屈はともかく、私はがっつり食べた日に限って午後に眠気で落ちた。

だから今は、お昼は腹八分目で止める。重いものは避けて、おにぎりやサンドイッチを少しと、温かい飲み物くらい。食べながらテキストを広げたくなる気持ちはわかるが、午前で疲れた脳は、休ませたほうが午後にちゃんと働く。午後の自分のために、午前の自分が席を譲る。そういう感覚だ。

黒猫

黒猫:午後の自分のために、午前は腹八分。終わった科目の答え合わせも、休憩中はやらない。良いことが一つもないからね。

結局、当日にできる最大の対策は「自分を信じること」だった

身も蓋もないが、当日に新しい知識はほとんど増えない。直前の悪あがきで一点上がることより、平常心を欠いて一点落とすことのほうが、ずっと起きやすい。当日の私の仕事は、勉強してきた過去の自分を、ちゃんと舞台に立たせてやることだ。

緊張するのは、本気で受かりたいからだ。どうでもいい試験に、人は手が冷たくなったりしない。だからその震えは、敵ではなく、ここまで走ってきた自分の本気の証だと思っていい。財布を忘れて青ざめた私でも、深呼吸をして、終わった科目を捨てて、目の前の一問に戻れば、ちゃんと最後まで戦えた。あなたにも、それができる。

当日のあなたの仕事は、新しく覚えることではない。ここまで歩いてきた過去の自分を、落ち着いて舞台へ送り出してやることだ。

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