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学習法・勉強のコツ

本番1週間前に新しい問題集を買うな。私はそれで2回、本気で焦った

直前期は“引き出しを増やす”より、“引き出しを磨く”ことに全部使う

学習法・全受験者向け・約7分

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「気づいたら、本番まであと1週間だった」。——資格の勉強をしていると、毎回これに襲われる。何かの拍子にカレンダーを見て、「は?嘘でしょ?」と二度見する、あの感覚だ。私は飽きるほど経験した。そして、その瞬間にやりがちなのが、焦って書店に走り、新しい問題集を買ってしまうことだ。それで救われた試しはほぼないのに、なぜか手が伸びる。今日は、その失敗を二度した私が、三度目以降に「これは正解だった」と思えた直前1週間のすごし方を、体験談ごと書く。

白状する。私は本番1週間前に書店へ走った人間だ

最初に正直に書いておく。私は本気で2回、本番の1週間前に、新しい問題集を買いに走った。簿記のときと、FPのときだ。理屈はこうだ。「いま使っている問題集はだいたい解けるようになった気がする。本番で初見の問題が出たら怖い。新しい問題集なら、まだ見たことのない問題が入っているはず。だから、もう1冊やっておけば安心だ」。——そう自分に言い聞かせて、レジに向かった。

結果は無残だった。新しい問題集に手を出した時点で、もう1冊を回す時間は当然なくなる。さらに新しい問題集は、目次の順番も解説の書き方もちがう。最初の数十問で「あれ、これ前の問題集ではこう書いてあった気がする」と混乱して、頭の中の整理が崩れていく。結局、どっちも中途半端で本番に突入し、解けたはずの問題で凡ミスを連発した。買わなければよかったどころか、買ったせいで点数が下がった、と本気で思った。

“引き出しを増やす”より、“引き出しを磨く”時期

痛い目を見てから気づいたのは、こういうことだ。直前1週間は、「引き出しを増やす時期」ではなく、「引き出しを磨く時期」だ。これまで何週間も、何か月もかけて、自分の中にいろいろな引き出しを作ってきたはずだ。仕訳のやり方、控除額の数字、法令の数字、用語の意味、アルゴリズムの読み方。直前期にやるべきは、新しい引き出しを足すことじゃなく、今ある引き出しを本番でスッと開ける状態にしておくことだ。新しい問題集は、新しい引き出しを足す道具で、いまの私たちが必要としているものとはちょっとちがう。同じ7日間を使うなら、今ある引き出しを磨くほうが、本番の点数に直結する。

これは、以前 『覚えたそばから忘れる』の記事 で書いた“忘れる前に思い出す”の話とも、きれいに重なる。直前期にやるのは、新しい情報の取り込みじゃなくて、すでに入れた情報を引き出す訓練のほうだ。引き出した回数が、本番で何秒で取り出せるかを決める。

直前1週間でやってよかった、3つの整理

では、具体的に何をするか。私が三度目以降に「これは効いた」と思えたのは、次の3つだった。どれも新しい教材を買わずにできる。

① 誤答ノートだけを、もう一周する。これまで間違えた問題を、もう一度だけ手を動かして解く。コツは「答えを覚えていそうな問題でも、面倒くさがらずに最後まで書く」こと。覚えたつもりで飛ばすと、本番で同じパターンを落とす。誤答ノートを作っていなければ、これまでの問題集で付箋を貼ったページだけでもいい。全範囲はもう回さない。間違えたところだけでいい。これだけで体感、本番の点数がぐっと安定した。

② 「よく間違える数字・キーワード」を、A4一枚に書き出す。FPの控除額、簿記の勘定科目の分類、宅建の数字、基本情報の用語の言い換え。覚えたつもりでも、毎回ちょっとずつ間違える数字や言葉が、人にはある。これだけをA4一枚にまとめておくと、当日の朝に見返すための“お守り”になる。私は何度も書き直したけれど、書き直すこと自体が思い出す訓練になっていて、これも効いた。

③ 直近の模試(または通し演習)を1本だけ、本気で振り返る。もし1週間以内に1回でも模試や通し演習をしていれば、それを丁寧に振り返る。間違えた問題はもちろん、正解した問題でも「自信がなかったやつ」を洗い出して、なぜ自信がなかったかを書く。自信がなかった問題は、本番で似たものが出たときに、また自信なく解いてしまう。ここを潰しておくと、当日の手応えがずいぶん変わる。

白猫

白猫:直前期はね、新しいページをめくる時間より、今までめくったページを“もう一度しめる”時間のほうが、ずっと得点に効くんだよ。

模試を新しく解くなら、本番の3日前までにしておく

もし通しの模試をやるなら、本番の3日前までに終えておくのがおすすめだ。理由は2つある。1つは、模試で見つかった弱点を埋める時間を確保するため。前日や前々日に模試をやると、弱点が見つかっても潰す時間がない。それなら最初から弱点探しをやらないほうが、メンタルとしてラクだ。もう1つは、前日と当日朝は「解く」より「思い出す」に時間を使ったほうが、本番の動きが軽くなるからだ。新しい問題で疲れた頭で当日を迎えるより、見覚えのあるものを軽く回した頭で迎えるほうが、いい状態で会場に着ける。私はこれで、本番の朝の落ち着き方がかなり変わった。

前日と当日朝:詰め込まない、軽く“思い出す”だけ

前日にやることは、ぐっと絞ったほうがいい。具体的には、前日は、誤答ノートの“まだ怪しいやつ”だけを軽く確認する。新しい問題は解かない。深夜まで粘らない。当日朝は、②で作ったA4一枚を、コーヒーでも飲みながら読み返すだけ。これ以上やろうとしない。——たったこれだけ。物足りなく感じるかもしれないが、直前に詰め込んだ情報は、たいてい本番までに頭から滑り落ちる。前日と当日朝の役割は、新しいことを覚えることじゃない。これまで積み上げたものを、本番までこぼさず運ぶことだ。これも、以前 『勉強する時間がない人へ』の記事 で書いた“すきま15分”の延長で考えるとわかりやすい。直前期は、まとまった2時間より、ちょっとずつ思い出す15分のほうが、本番で生き残る。

本番でいちばん効くのは、“知らない問題に出会う準備”

最後に、メンタル面の話を1つだけ。どんなに準備しても、本番で「これ、見たことない」という問題には必ず出会う。私は毎回出会う。出会わなかった試験は1回もない。ここで大事なのは、「全部知ってる状態で会場に行こう」とすると、見たことない問題が出た瞬間に心が折れる、ということだ。だから、直前1週間のうちに、自分にこう言い聞かせておく。「見たことない問題は必ず出る。出たらいったん飛ばして、解ける問題から先に取る」。これを事前に決めておくだけで、本番でその場面が来たときの動揺がだいぶ減る。準備とは知識のことだけじゃなくて、知らないものに出会ったときの動き方を決めておくことでもある。

黒猫

黒猫:知らない問題は出る。そこで止まらず、解ける問題から先に取れ。順番を決めておけば、焦りは半分になる。

1週間後の自分への手紙

直前期はどうしても、「あと1週間でこれだけ覚えなきゃ」「あと7日でこれをやらなきゃ」と、やることリストが膨らんでいく。でも、本番で点数を稼ぐのは、リストの長さじゃない。今ある引き出しを、どれだけ素早く開けられるかだ。だから、もし今あなたが書店の前に立っていたら、まずいったん帰ってほしい。新しい問題集の代わりに、これまでつけた付箋と、間違えた問題のページと、たまにしか開いていないノートを引っぱり出してみてほしい。そこに、本番で効く弾は、もう全部そろっている。あとは磨いて、当日に持っていくだけだ。

新しい問題集の1ページより、間違えたことのある1問のほうが、本番の点数に近い。引き出しは増やすな、磨け。

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